- 性感染症とその感染経路
- 性感染症の症状チェック
- 性感染症(性病)の種類
- 性感染症検査(性病検査)の方法
- 性感染症検査(性病検査)の費用
- 性感染症検査の治療
- 性感染症(性病)は自然に治らない?早めの相談を
性感染症とその感染経路
性感染症とは、性的接触により口や性器などの皮膚や粘膜から感染する疾患の総称です。そのため、膣性交だけでなく、オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)でも感染する可能性があります。また、母体から胎児に感染(母子感染)する可能性もあります。
性感染症の症状チェック
女性の場合
おりものの症状
- おりものの量が多く、下腹部に痛みがある
- カッテージチーズ状や酒粕状のおりものが出る
- 泡状で臭いの強いおりものが出る
など
デリケートゾーンの症状
- デリケートゾーンにかゆみや痛みがある
- 排尿時に強い痛みがある
- 太ももの付け根付近のリンパ節が腫れている
- デリケートゾーンに、痛みを伴わないイボがある
- デリケートゾーンに、痛みやかゆみを伴う水疱ができる
など
全身の症状
- デリケートゾーン以外にも、痛みを伴わないしこりや腫れがある
- 全身に赤茶色のバラ状の発疹ができる
-
のどに痛みや腫れがあり、咳や発熱を伴う
- 黄疸、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、発熱などの症状が続いている
- 発熱、咽頭炎、下痢、リンパ節の腫れ、全身倦怠感などの症状が1ヶ月以上続いている
など
男性の場合
デリケートゾーンの症状
- 排尿時に強い痛みがあり、尿道から膿が出る
- 尿道にかゆみがある
- 睾丸に痛みや腫れがある
- 亀頭が赤くなりかゆみを伴う
- 太ももの付け根付近のリンパ節が腫れている
- デリケートゾーンに、痛みを伴わないイボがある
- デリケートゾーンに、痛みやかゆみを伴う水疱ができる
など
全身の症状
- デリケートゾーンや唇に、痛みを伴わないしこりや腫れがある
- 全身に赤茶色のバラ状の発疹ができる
- 黄疸、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、発熱などの症状が続いている
- 発熱、咽頭炎、下痢、リンパ節の腫れ、全身倦怠感などの症状が1ヶ月以上続いている
など
性感染症(性病)の種類
クラミジア感染症
日本で最も多い性感染症であり、クラミジア・トラコマティスという細菌に感染することで発症します。男女ともに自覚症状がない場合が多く、感染していることに気づかない内に進行し、子宮や卵巣に炎症を起こして不妊症の原因となることがあります。
淋菌感染症
淋菌に感染することで発症します。男性の場合は排尿時に強い痛みがありますが、女性の場合は自覚症状がほとんどありません。進行すると子宮や卵管に炎症を起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。
マイコプラズマ・
ジェニタリウム
マイコプラズマ・ジェニタリウムは、以前より欧米では性感染症として検査・治療の対象となっていましたが、日本では最近になって性感染症として認識され始めたため、まだ一般には性感染症として知られていませんでしたが、令和4年から検査が保険でできるようになりました。
女性の場合、クラミジアと同じくほとんど症状がないことも多いですが、膣・おりものの違和感(子宮頸管炎)で気付かれることもあります。男性では、排尿時違和感、排尿痛、尿道分泌物などの尿道炎症状がみられます。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌に感染することで発症します。感染するとデリケートゾーンにしこりができたり、鼠径部(足の付け根)のリンパ節が腫れたり、時間が経つと全身に湿疹が現れたりしますが、しばらくすると症状が消失するため、治ったと間違われやすく発見が遅れることがあります。適切な治療をしないと病状は進行し、重大な合併症を引き起こす可能性があります。また、妊娠中の女性が梅毒に感染すると、胎盤を通じて赤ちゃんに感染を起こし(先天梅毒)、流産や死産につながったり、赤ちゃんに難聴や知的障害など引き起こすことがあります。
外陰ヘルペス
ヘルペスウイルスが性器に感染して発症します。初感染時は無症状の場合が多いですが、性器や口周辺に痛みを伴う水疱ができ、激痛のため排尿や歩行が困難になることがあります。一度感染するとヘルペスウイルスは排除されず、神経に潜伏します。そのため、体調が崩れた時などに再発することがあります。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスに感染することで発症します。女性の場合、デリケートゾーンにイボができることがあります。イボに気づかないことや膣内にイボができた場合など、痛みやかゆみなどの症状もほとんどないため、感染に気づかないこともあります。自然治癒することもありますが、治療しても再発するケースも多いです。
HIV/エイズ
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染すると、数ヶ月から10年程度でエイズを発症します。エイズになると免疫力が低下し、通常であれば無害なウイルスや細菌に感染し、重症化することがあります。現在は、治療薬の開発により、適切な治療を続けることで、普通の生活ができるようになってきています。
トリコモナス腟炎
トリコモナス原虫という寄生虫が性器内に寄生して発症します。ほとんどの場合は性行為で感染しますが、下着、タオル、便器、浴槽からも感染する可能性も報告されています。男性はほとんど症状がありませんが、女性の場合、おりものの増加や悪臭、デリケートゾーンのかゆみなどの症状が現れます。
カンジタ症
真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が異常増殖して発症します。性行為で感染することもありますが、カンジダ菌は健康な人の体内にも存在する一般的な菌ですので、必ずしも性感染症とは言えません。女性の場合、デリケートゾーンの強いかゆみやヨーグルト状のおりものが見られます。
性感染症検査
(性病検査)の方法
性感染症の検査方法は男女で異なるだけでなく、感染部位や感染症の種類によっても異なります。主な性感染症に対する検査は以下の通りです。
クラミジア、淋病、
マイコプラズマ・
ジェニタリウムの検査
女性は膣分泌物、男性は尿を用いて検査します。肛門に感染している場合は肛門周辺を擦って採取した分泌物、のどに感染している場合はのどの粘膜を綿棒で擦るか、うがい液を採取して検査をします。
トリコモナス膣炎や
ガンジダ症の検査
女性は膣分泌液(綿棒で菌を採取)、男性は尿を用いて検査します。顕微鏡で原虫や菌糸を確認したり、培養検査で感染を確認します。
梅毒やHIV/エイズ感染症の検査
梅毒やHIV/エイズは、男女ともに血液検査を行います。HIV感染症の場合は、スクリーニング検査の上で確認検査も行います。
外陰ヘルペスや
尖圭コンジローマの検査
外陰ヘルペスは男女ともに病変部位の粘膜を擦過して、ヘルペスウイルスに感染しているか検査します。尖圭コンジローマはウイルス検査ができないため、一般には視触診にてコンジローマかどうか確認します。
性感染症の治療について
性感染症検査で陽性であった場合は、以下のような治療をします。
クラミジア
抗生物質の内服で治療します。
淋病
抗生物質の点滴で治療します。
マイコプラズマ・ジェニタリウム
抗生物質の内服で治療します。
梅毒
抗生物質の内服や注射で治療します。
外陰ヘルペス
抗ウイルス剤の内服や軟膏で治療します。
HIV/エイズ
専門医療機関にご紹介し、抗ウイルス剤の内服で治療します。
トリコモナス膣炎やカンジダ症
膣洗浄の上、抗菌剤の膣内投与や内服で治療します。痒みなどの症状に対しては、軟膏やクリームを使います。
性感染症検査
(性病検査)の費用
性感染症の検査費用は以下の通りです。
検査項目 | 費用 |
---|---|
クラミジア | 2,750円(税込) |
淋菌 | 2,750円(税込) |
梅毒 | 2,750円(税込) |
HIV | 2,750円(税込) |
帯下異常などの症状がある場合は、保険を使った検査ができる場合もあります。
性感染症(性病)は自然に治らない?
早めの相談を
性感染症は、ほとんどの場合自然に治りません。放置していると一旦症状が消失することもあり、治ったと誤解されることもありますが、適切な治療を受けないと体内に病原体が残り、パートナーに感染させたり、症状が進行して重症化したりする恐れがあります。パートナーが性感染症に感染した場合や気になる症状が現れた場合は、など、性感染症についてご心配なことがあれば、『性感染症学会認定医』である当院までお早めにご相談ください。