流産手術
当院では、12週までの流産に対する手術として、「子宮内容除去術」を行っています。この手術は子宮内の妊娠内容物(胎児、胎盤、子宮内膜など)を取り除くことで、流産後に速やかに妊娠できる状態に戻すことを目的としています。
子宮内容除去術は、静脈麻酔(眠った状態でありながら自発呼吸が可能な深度の麻酔)を行った後、子宮内の妊娠内容物を取り除きます。
当院では日帰り手術を行っています。
流産手術の流れ
1診察と検査
胎児心拍の消失、子宮内での胎嚢・胎芽の成長が1週間以上の間隔で認めない所見があった場合、稽留流産の診断になります。自然排出を待つか、子宮内容除去術を行うかについて外来でご説明します。血液検査を妊娠初期に行っていない場合は、術前に行います。
2手術説明
手術の方法、麻酔の方法、合併症等のリスクを医師が説明し、同意書をお渡しします。手術日程の相談及び手術の注意事項・持ち物については、スタッフが説明します。
3手術当日
①術前準備
同意書を必ず持参の上ご来院ください。費用は事前にお預かり金をいただき、術後に精算いたします。
手術を安全に行うために、手術前に子宮口を広げる前処置を行う場合があります。
手術着に着替えた後、腕から点滴を入れます。
②麻酔
手術室に移動し、点滴より静脈麻酔と傍頸管ブロックにて子宮に局所麻酔を行います。眠った状態を確認し手術を開始いたします。
③手術
真空吸引法での手術となります。手術時間は約10分です。
④術後
麻酔の効果が切れるまで約2時間、ベッドでお休みいただきます。麻酔から完全に覚めて、歩ける状態になりましたら術後診察を行います。お体の状態を確認して問題ないと判断したら、ご帰宅いただきます。
4術後(帰宅後)
術後には感染を予防する抗生剤、子宮の収縮を促す子宮収縮剤を処方します。痛みが強い場合には鎮痛薬も処方します。
翌日と術後約1週間後に、外来での術後診察を行います。全身状態や出血の状態などを確認いたします。
流産手術のメリット・
デメリット
メリット
早く確実に子宮内の妊娠内容物を排出できます。また、病理検査で胞状奇胎などの異常妊娠を発見することができます。
デメリット
手術や麻酔に伴う合併症などのリスクがあります。
考えられる合併症と
その後の対処法
子宮穿孔
妊娠した子宮は柔らかいため、まれに手術で子宮穿孔(子宮に穴が開く)になる場合があります。
子宮穿孔が確認されると、開腹手術や輸血、子宮全摘、他臓器損傷の可能性があり、まれに腸や膀胱等、他の臓器に穴を開けてしまう危険性があります。また、次の分娩が帝王切開になる可能性があります。
静脈麻酔の副作用
静脈麻酔によって、呼吸抑制、血圧低下、ショック、誤嚥(ごえん)などを起こすことがあります。
その場合は必要な薬物を投与して全身管理を行い、安全確保に努めます。
多量の出血
まれに出血が多くなることがあります。子宮の収縮が不良の場合は子宮収縮薬を投与しますが、出血が多量の場合には開腹手術、輸血、子宮全摘の可能性があります。
感染症
術後に子宮内で感染症を起こす場合があります。下腹痛と発熱があれば、入院して抗菌薬で治療することがあります。
子宮内に組織が残る
手術後に出血が続く場合、残存組織が原因である可能性があります。まれなケースですが、残存組織を除去する再手術をすることがあります。
再手術・再検査
合併症の治療や再手術、再検査などを行う場合があります。その際は追加費用がかかることがありますので、あらかじめご了承ください。
流産手術の費用
保険適用のため必ず健康保険証をお持ちください。
流産手術でよくある質問
流産手術はどのくらい痛いですか?
手術中は麻酔で痛みを感じませんが、手術後に麻酔が切れると痛みが出ることがあります。
手術後の痛みには、子宮が元の大きさに戻ろうとする収縮痛があります。退院時に生理痛のような痛みがある場合がありますが、時間が経つにつれて徐々に和らぎ、数日で痛みが気にならなくなることが多いです。
流産手術後、どのくらい安静にしていれば良いですか?
手術から3日間は、自宅で安静に過ごすようにしましょう。手術後には、頭痛、頭重感、めまい、肩こり、下腹部の張り、イライラなどの症状が出やすくなるため、無理をしないようにしてください。
出血は手術後7~14日間続くことがありますが、それ以上の出血や腹痛がある場合は必ず医師の診察を受けてください。
コンジローマ焼灼法
尖圭コンジローマの外科療法として行われる電気焼灼法で、高周波電流のメスでイボを焼く方法です。この治療方法を行うには、手術前に局所麻酔が必要となります。
イボの表面を焼くだけでは再発のリスクが高いため、広範囲にわたって焼灼を行う必要があり、手術痕が残る可能性があります。
陰部にできるイボ「尖圭コンジローマ」とは
尖圭コンジローマは、性器や肛門のまわりにイボができる病気です。
イボの色は様々で、大きさは径1~3mm前後が多いと言われています。
初期は小さいイボですが、放置するとイボが巨大化したり、数が増えたりして、日常生活や性行為を行うことが困難になる場合があります。
自覚症状がほとんどないと言われていますが、かゆみや痛みを感じることもあります。
原因は接触感染で、性感染症(STD)の一種でヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の中にある6・11型に接触することによって引き起こされます。
尖圭コンジローマの
検査・治療費用
当院での尖圭コンジローマの診療費用は、塗り薬のみであれば自己負担1,500円程度(3割負担)です。
電気焼灼法で治療する場合は自己負担4,000円程度(3割負担)にお薬代がかかります。
バルトリン線嚢胞切開術
バルトリン腺は膣口に位置する分泌腺です。細菌の侵入により感染や炎症が生じると、バルトリン腺嚢胞が引き起こされます。嚢胞に感染が起きると強い痛みや外陰部の腫れが生じ、化膿した場合は膿を排出するために切開、穿刺、開窓術が必要です。
当院では強い痛みや腫れ、再発が繰り返される場合に、切開排膿術を行っています。この手術は所要時間が約10分で終了する手術です。
バルトリン線嚢胞手術の費用
バルトリン腺嚢胞の診療は保険診療です。
診療、処置、投薬を含めて自己負担は3,000円(3割負担)程度です。