プラセンタ治療(注射)
プラセンタとは
プラセンタは、母親のお腹の中で赤ちゃんを守り・育てる役割を持つ「胎盤」から抽出される臓器で、胎児の成長に必要な栄養素や生理活性物質が豊富に含まれています。
プラセンタ療法は、この胎盤から抽出したエキスを注射液として利用し、自然治癒力を高める治療方法です。
日本では約50年前から医療用注射薬として使用され、更年期障害や肝機能改善などに効果があります。
また幅広い診療領域で使用され、最近ではエイジングケアにも利用されています。
プラセンタには細胞増殖因子や有用な成分が含まれており、これらが細胞や組織の活性化を促すことで、自然治癒力の向上が期待されます。
プラセンタ治療(注射)の
種類
当院では、厚生労働省が認可した「メルスモン」と「ラエンネック」のみを使用しています。
更年期障害の治療にはメルスモンが保険適応となっていますが、自費診療の場合はどちらの製品も選択可能です。
製造工程は異なりますが、期待される効果は同じです。
プラセンタに含まれる
成分
プラセンタは「若返りのエキス」とも呼ばれ、元々は更年期障害や乳汁分泌不全、慢性肝疾患などの治療薬として使われてきました。
胎盤から抽出されるプラセンタには成長因子や栄養因子が豊富に含まれており、細胞を活性化させる成分がバランス良く含まれています。
その数は5000種類以上と言われ、タンパク質や脂質、糖質はもとより、様々な有効成分が含まれており、新陳代謝やホルモン分泌を整え、アンチエイジングや美容、美肌に効果があります。
アミノ酸
アミノ酸はたんぱく質の構成成分であり、体の細胞を形成する役割を果たします。
プラセンタに含まれるロイシン、リジン、バリン、スレオニン、イソロイシン、グリシンなどの約20種類のアミノ酸は、単体で構成されているために体内での吸収率が高くなります。
成長細胞成長因子
(グロースファクター)
成長因子は、細胞の増殖や修復、再生を促進し、アンチエイジングに役立ちます。HGF(肝細胞増殖因子)やEGF(上皮細胞増殖因子)、NGF(神経細胞成長因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)、IGF(インシュリン様増殖因子) などがあり、細胞分裂を促進して健康な身体や若々しい肌を保つ働きがあります。
核酸
核酸は遺伝子の修復や正常な細胞分裂を助け、新陳代謝や基礎代謝を向上させます。加齢とともに肝臓での合成量が減少するため、アンチエイジングに重要な成分となります。
ビタミン
プラセンタには、ビタミンB1やB2、B6、B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシンなどが含まれています。
体内で作ることのできないこれらのビタミンは、身体の様々な生理機能や体調を整え、代謝をスムーズにする働きがあります。
ミネラル
プラセンタにはカルシウムやナトリウム、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛、鉄などが豊富に含まれています。血液や体液に働きかけ、身体の様々な機能維持、調整を担っています。
プラセンタ治療(注射)が
保険適用になる病気
プラセンタ注射剤は、以下の病気の治療剤として厚生労働省から認可されており、保険適用となります。
以下の病気以外の治療や施術は自由診療の扱いとなります。
更年期障害
更年期障害は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌低下や、ストレスを受けやすい精神的・環境的要因が原因となり、自律神経に変調をきたすことで引き起こされる病気です。
通常のプラセンタ注射を行う治療で、プラセンタが持つ「ホルモンを調整する内分泌調整作用」や「自律神経のバランスを調整する自律神経調整作用」などが更年期障害の緩和に役立つと考えられています。
乳汁分泌不全
哺乳動物が自ら娩出した胎盤を本能的に食べ、その後の乳汁分泌に寄与していることから、プラセンタは乳汁分泌不全に効果があると考えられています。
実際に胎盤製剤であるメルスモンは、厚生大臣認可で発売されて25年が経ち、多くの臨床効果を上げており、副作用がなく、乳汁分泌不全に効果があることが認められています。
肝炎、肝硬変など
慢性肝疾患
肝炎などの肝疾患は、アルコール摂取やウイルス侵入によって発生した活性酸素が、肝細胞に障害を与え、炎症を引き起こすことが原因とされています。
プラセンタには、活性酸素除去作用や活性酸素の過剰な発生を抑える免疫賦活作用、解毒作用、抗炎症作用などの働きがあるため、肝炎や肝硬変などの肝障害に効果があると考えられています。
プラセンタ治療(注射)に
より期待できる効果
プラセンタ注射に含まれているアミノ酸やビタミン、ミネラル、核酸、活性ペプチド、酵素等の成分は、新陳代謝を活性化させ、より新しい血液・体液や細胞を生成するために必要なものです。
これにより下記の効果が期待されています。
- 肝臓の保護作用
- 抗酸化作用
- 美容作用(コラーゲン増殖、しみ・しわの改善、色素沈着の改善)
- 更年期症状の改善
- 肩こり・ひざ痛の改善
- 骨密度の改善
など
プラセンタ治療(注射)は
このような方におすすめ
- 美容や疲労回復などのアンチエイジングをしたい
- 更年期障害を改善したい
- 花粉症やアトピーなどのアレルギー体質の改善をしたい
- 生理痛や生理前後のニキビを改善したい
- 肩こり、腰痛、冷え性などを改善したい
など
プラセンタ治療(注射)に
よる副作用
プラセンタは、注射する漢方薬などと言われるほど比較的副作用が少ない製剤ですが、下記のような副作用が確認されています。
- 注射部位の疼痛
- 過敏症(発疹・発熱・掻痒感など)
- 注射部位の硬結
- 頭痛
- 肝機能障害(AST,ALT 上昇など)
など
献血ができなくなる?
プラセンタ治療(注射)の
リスク
ヒト由来の原材料を使用した医薬品を接種すると、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクがあるとされ、日本赤十字社では2006年からプラセンタ治療を受けた人の献血を停止しています。
これまで発生は確認されていませんが、未知のウイルスの存在や発生の可能性を排除できないことから、予防措置としてこの措置が取られています。
プラセンタの製造は安全性が確保されていますが、輸血を必要とする人々の安全を保障するためにこの対応が行われています。
にんにく注射
にんにく注射とは
にんにく注射は、ビタミンB1が主成分として含まれるビタミン注射です。
ビタミンB1には硫黄が含まれているため、にんにくの臭いがすることから、一般的に「にんにく注射」と呼ばれています。
にんにく注射に含まれる成分「ビタミンB1」
ビタミンB1は、糖質を分解して細胞のエネルギーを生成する際に欠かせない成分で、筋肉に蓄積した疲労物質(乳酸)の除去にも役立ちます。
ビタミンB1が不足すると、全身の倦怠感、食欲不振、皮膚のトラブル、目の疲れ、神経痛や神経炎、便秘などの様々な不調が現れます。
身体的な症状だけでなく、気分の落ち込みや仕事の能率低下も見られます。
さらに症状が進行すると心臓が弱り、重症の心不全症状が現れ、生命の危険が伴うこともあります。
また、運動や過労、ストレス、アルコール摂取などによってビタミンB1の消耗が増えるため、十分に補給しないと不足することがあります。
食事やサプリメントで補うことも可能ですが、症状が強い場合や即効性を求める場合は注射による補充が効果的です。
にんにく注射により
期待できる効果
- 疲労回復
- 筋力アップ
- 腰痛
- 肩こり
- 筋肉痛
- 関節痛
- 神経痛の改善
- 眼精疲労
- 貧血の改善
- 胃腸の働きが良くなる
- にきび
- 肌荒れ
- 口内炎の改善
など
にんにく注射は
このような方におすすめ
にんにく注射は、以下のような症状でお悩みの方におすすめします。
- 疲れがたまって寝ても疲労感が取れない
- 元気が出ない
- 夏バテする
- 冷え性
- 虚弱体質
- よく風邪を引く
- 頭痛、肩こり、腰痛に悩んでいる
- 肌荒れが気になる
- 二日酔いや肝臓が弱っている
- 眼精疲労
- 食欲不振
など
にんにく注射による
副作用
にんにく注射に含まれるビタミンB類は水溶性のため、過剰摂取や体内への蓄積の心配はありません。ただし、逆に言えば、体外に排泄されやすいため、定期的な補充が必要です。
にんにく注射の副作用として考えられるのは、アレルギー反応、下痢、頭痛、湿疹、蕁麻疹などです。
また、注射部位が一時的に赤くなったり、硬くなったりすることがあります。
どこで打つ?
にんにく注射の取り扱い
(保険適用外)について
にんにく注射には、医療機関でしか投与できない成分が含まれているため、当院など対応可能なクリニックで施術を受ける必要があります。
また、にんにく注射は保険適用外の自費診療扱いとなるため、料金は全額自己負担となります。
高濃度ビタミンC点滴
高濃度ビタミンC点滴とは
従来の美白点滴や内服では得られない高濃度のビタミンCを点滴で直接血液中に注入することで、美肌やアンチエイジングに高い効果を発揮します。
ビタミンCは体内で合成できないため、外部から補給が必要ですが、経口摂取では血中濃度が一定以上上がらず、酸化しやすいという欠点があります。
点滴では無添加のビタミンCを大量に直接注入できるので、酸化を防ぎつつ血中濃度を急激に上げ、短時間で全身に行き渡らせることが可能です。
高濃度ビタミンC点滴
により期待できる効果
- 美白や美肌
- お肌の保湿
- 疲労回復、抗ストレス
- 免疫力向上
- 抗アレルギー
- がんや生活習慣病の予防
など
高濃度ビタミンC点滴は
このような方におすすめ
- お肌のくすみ、シミ、シワ、たるみが気になる
- 髪の毛にコシや艶がなくなった
- 老化を遅らせたい、健康を増進したい
- ニキビができやすい、治りにくい
- 慢性的に疲れている、疲れやすい
- ストレスが溜まりやすい
- 飲酒や喫煙が多い
- 風邪をよく引く、扁桃炎や副鼻腔炎によくかかる
- 花粉症やアトピーなどのアレルギーがある
- 動脈硬化を予防したい
- がん予防やがん再発予防を考えている
など
高濃度ビタミンC点滴
の効果の持続期間
ビタミンC点滴の効果は長くても1週間程度です。
ビタミンCの血中濃度は年齢によって必要な量が異なり、細胞が維持できるビタミンCの量には限界があるため、一定の濃度を超えると体外へ排出されます。
そのため、ビタミンCの血中濃度を維持するためには定期的な投与が必要です。
高濃度ビタミンC点滴
による副作用
ビタミンCには重篤な副作用はないと報告されています。
起こりうる副作用としては以下のようなものがあります。
のどが渇く
高濃度ビタミンC点滴には利尿作用があるため、のどが渇きます。
点滴中は小まめに水分補給を行っていただきます。
点滴の痛み
点滴治療は点滴刺入部に局所的な痛みを感じることがあります。
この血管痛に対しては、マグネシウムの添加、点滴速度の調整、温湿布などで軽減できます。
めまい、冷や汗
ビタミンCはブドウ糖と化学構造が似ているため、高濃度ビタミンC点滴を受けると、体がブドウ糖と勘違いし、インスリンを分泌して血糖を下げることがあります。その結果、まれに低血糖が生じることがあります。
そのため、点滴前にはできるだけ食事を摂るようにお願いしております。
アレルギー
ビタミンCそのものに対するアレルギーはまれです。
アレルギー症状が起こる場合は、ビタミンC以外の成分や化学防腐剤が原因であることがほとんどです。
見せかけの高い血糖値が
出ることがある
糖尿病の方で簡易血糖測定器を使用している場合、高濃度ビタミンC点滴後に測定すると高血糖の値が出ることがあります。
これは、ビタミンCとブドウ糖の化学構造が極めてよく似ているために起こる現象です。
高血糖の値が出た時に、慌ててインスリンを投与すると低血糖になってしまいますので、ビタミンC点滴12時間後は血糖測定を控えてください。
けいれん・しびれ
(低カルシウム血症)
ビタミンCはカルシウムを尿として外に出す働きがあり、筋肉のけいれん、しびれなどの症状を認めることがあります。
これらの症状は通常、カルシウム製剤を投与することですぐに改善されます。