妊娠初期の出血は
よくあるの?
妊娠初期は、母体から胎児へ酸素や栄養を送る胎盤の発達が十分ではないため、出血や下腹痛が起こりやすい時期です。
妊娠初期の出血の原因
妊娠初期の出血には、様々な原因があります。以下にその原因と特徴について解説します。
着床出血
着床出血は、受精卵が着床する際に子宮内膜の血管が傷つくことで起こります。妊娠初期に起こる出血の中で、最もよく見られる出血です。
出血の特徴
下着に滲む程度の少量の出血が1~4日程度続きます。
絨毛膜下血腫
絨毛膜下血腫とは、絨毛膜と子宮内膜の間に血腫ができることです。少量の場合は子宮に吸収されますが、血腫が大きいと、大量出血することがあります。妊娠中期までに出血が止まることが多いとされているため、少量~中程度の出血であれば、治療は不要なことが多いです。
出血の特徴
血腫が大きい場合は、大量出血することがあります。
切迫流産
切迫流産とは、妊娠22週未満に流産の可能性がある出血を起こした状態です。出血があっても子宮口が閉じており、胎児の心拍を確認できる場合、切迫流産と診断されます。
出血の特徴
出血量には個人差があり、鮮血や赤褐色の出血が下着に付く程度から、ナプキンが真っ赤になるほど大量に出血する場合もあります。
初期流産
流産とは、妊娠中に何らかの異常があり、妊娠22週未満で妊娠が終了してしまうことを指します。
特に、妊娠12週までに起こりやすく、主な原因は胎児の染色体異常です。
出血の特徴
出血量には個人差があり、ナプキンが真っ赤になるほど大量出血する方もいれば、極少量の出血で検診日まで気づかない方もいます。
子宮頸部びらん
子宮頸部びらんとは、女性ホルモンの影響で子宮口付近がただれた状態で、胎児には特に影響はありません。子宮頸部びらんを起こしている状態だと、内診でも出血することがあります。
出血の特徴
出血は極少量の場合が多く、ピンク、赤褐色、茶色の血液がおりものに混ざる程度です。
子宮頸管ポリープ
子宮頚管ポリープとは、子宮頚管にできる良性の腫瘤できものです。ポリープは柔らかいため、内診や性行為などによる接触でも容易に出血することがあります。
出血の特徴
出血は少量か、おりものに混ざる程度で、すぐに止まることが多いです。
胞状奇胎
胞状奇胎とは、胎盤を作るための絨毛細胞が異常に増える異常妊娠の1つです。妊娠の継続は不可能で、早急に子宮内容除去術を行う必要があります。
出血の特徴
出血量は極少量か、おりものに血が混ざる程度です。
子宮外妊娠
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮以外の部分に着床することで、約1 %の確率で起こります。妊娠反応があるのに子宮内に胎児が見られず、卵管などの子宮外に妊娠した場合に診断されます。子宮外妊娠と診断された場合、妊娠の継続は不可能で、早急に妊娠を中止する処置を行う必要があります。
出血の特徴
鮮血や赤褐色の少量の出血が見られることが多いです。
徐々に出血量が増え、大量出血に至るケースもあります。
「出血が続いて不安・・」
妊娠初期の出血は珍しいことではなく、約30%の方が少量の出血を経験すると言われています。妊娠初期の出血には様子を見てもよい場合と、受診が必要な場合があります。ご自身で判断するのは難しいため、出血が見られたら診察をお受けになることをお勧めします。
少量の出血・おりものに混じっている程度の出血
妊娠すると子宮の収縮に伴い、少しの刺激で出血することがあります。トイレットペーパーに付着する程度の出血や、おりものに茶色っぽい血液が混じる程度の出血であれば、過度に心配する必要はありませんが、下腹痛があったり、少量でも出血が続くようならいつでも受診して下さい。
少量だった出血の量が
増えてきた
少量だった出血が増えてきた場合は、胎盤の周囲に血が溜まっている(絨毛膜下血腫)場合もあります。経過をみるだけで止まってくることも多いですが、自宅安静や子宮収縮を抑える薬が必要なこともありますので、いつでも受診して下さい。赤ちゃんが元気でいることを確認して、治療の相談をしましょう。
妊娠初期の下腹痛の原因
妊娠初期は、腹痛が起こりやすい時期です。その原因について以下に解説します。
ホルモンバランスの変動
妊娠初期にはプロゲステロンが多く分泌されますが、プロゲステロンは便秘の原因となります。便秘によりお腹の張りや痛みを感じやすくなります。
子宮が大きくなるため
妊娠すると胎児の成長とともに子宮は大きくなります。子宮が大きくなることで筋肉が引っ張られたり、周囲の臓器が圧迫されたりするため、お腹の張りや痛みを感じやすくなります。
子宮を支えている靭帯が引っ張られるから
子宮は円靱帯で支えられており、子宮が大きくなる際に円靱帯が引っ張られて痛みを感じます。痛みを感じる部位は主に足の付け根や下腹部で、痛みはあまり強くありません。