- 人工中絶手術とは
- 人工中絶手術はいつまで
できる?手術が可能な期間について - 人工中絶手術の方法は3つ
- 人工中絶手術の流れ
- 人工中絶手術後の過ごし方
- 一度中絶するとどうなる?
術後の症状や後遺症について - 保険適用される?人工中絶手術の
費用について - 人工中絶手術のよくある質問
人工中絶手術とは
胎児が母体外で生存できない時期に、人工的に妊娠を中断させて胎盤を含む妊娠した内容物を母体外に出すことを人工妊娠中絶と言います。妊娠後、諸事情により中絶しなければならない状況にある場合は、母体保護法という法律により人工妊娠中絶を選択することができます。
人工中絶手術は
いつまでできる?
手術が可能な期間について
人工妊娠中絶は、妊娠週数に応じて異なる方法で行われます。
12週未満の場合は「初期中絶手術」、12週から22週未満の場合は「中期中絶手術」を行います。
妊娠22週を超えた場合は、母体保護法(法律)によって中絶手術が禁止されています。
当院では、妊娠12週未満の中絶手術を行っています。中絶手術を検討されている方は、できるだけ早く受診されることをおすすめします。
人工中絶手術の方法
初期中絶の手術方法には、「搔爬法」「吸引法」があり、当院では「吸引法」の方法で手術を行います。
真空吸引法
筒状の器具を子宮内に挿入し、陰圧をかけて子宮内容物を吸引する手法です。
術中や術後の出血量が少なく、手術時間も短いため、母体への負担が少ない手術法としてWHO(世界保健機関)によって安全性が認められています。
メリット
- 出血量が短く、手術所要時間が短いため、母体への負担が少ないです。
- 技術力による差が出にくいため、安全性が安定しています。
など
デメリット
-
掻爬法に比べて、内容物が遺残する可能性があります。
(当院では術後に内容物の遺残がないように、
きちんと確認しますのでご安心ください)
人工中絶手術の流れ
1来院
WEBまたはお電話でご予約の上、保険証を持ってご来院ください。
2診察
血液検査や経腟超音波などの診察で健康状態を詳細に把握し、正常妊娠かどうかの確認と正確な週数をお知らせします。手術や術後のケアなどを十分に説明し、納得いただいた上で次のステップに進みます。
3手術日の決定と予約
妊娠6週以降の胎嚢の大きさ以上に成長する日程を計算して、手術日を決定し予約をしていただきます(手術は後日となります)。
4手術と手術同意書の説明
手術の方法、麻酔の方法、合併症等のリスクを医師が説明し、同意書をお渡しします。手術日程の相談及び手術の注意事項・持ち物については、スタッフが説明します。
手術日が確定しましたら手術同意書をお渡ししますので、手術当日までにご用意ください。同意書には、住所や氏名などを必ずご本人が記入・捺印していただく必要があります。結婚して配偶者のおられる方は、配偶者の同意とサインが必要です。
5費用と当日の説明
中絶手術にかかる費用、手術当日の注意事項を説明いたします。
6手術当日
手術時の着替えなど必要なものは用意しておりますので、絶食の上で身軽にご来院ください。
同意書を必ず持参の上ご来院ください。費用は事前にお預かり金をいただきます。
①術前準備
手術着に着替えた後、腕から点滴を入れます。
手術を安全に行うために、手術前に子宮口を広げる前処置を行う場合があります。
②麻酔
手術室に移動し、点滴より静脈麻酔と傍頸管ブロックにて子宮に局所麻酔を行います。眠った状態を確認し手術を開始いたします。
③手術
吸引法での手術となります。手術時間は約10分です。
④術後
麻酔の効果が切れるまで約2時間、ベッドでお休みいただきます。麻酔から完全に覚めて、歩ける状態になりましたら術後診察を行います。お体の状態を確認して問題ないと判断したら、ご帰宅いただきます。
7手術後について
中絶手術後、翌日および約1週間後には術後診察を受けていただき、全身状態や出血の状態などを確認いたします(術後の診察費用は手術代に含まれています)。
術後診察の際に、低用量ピルの希望がある場合はお申し付けください。低用量ピルの服用は中絶手術によって崩れたホルモンバランスを改善し、月経周期を回復させ、子宮内膜の早期回復を促進する目的で推奨されています。
人工中絶手術後の
過ごし方
できるだけ安静に
手術から2~3日はできるだけ安静に過ごし、特に手術当日は麻酔の影響があるため、車の運転や仕事は避けましょう。翌日から1~2週間かけて子宮の状態が戻り、出血や下腹部痛が改善していきます。ホルモンバランスは数ヶ月かけて元に戻りますが、安静にしていることで回復が早まり、出血量なども抑えられます。
抗生物質の服用
抗生物質は感染症を防ぐために必要なお薬です。処方された日数分を飲み切るようにしましょう。
鎮痛剤は痛みがなくなれば服用する必要はありません。
術後の出血
中絶手術後の出血は、術後に残った内膜や溜まった血液が子宮収縮によって排出されることによって起こります。個人差はありますが、一般的に1週間から10日程度は出血が続きます。そのまま生理を迎えて1ヶ月近く続く場合もあります。
出血量はおりもの程度から月経程度、数日後に塊のような出血があるなど様々です。出血が多いと感じる場合もありますが、数日で少なくなっていくことがほとんどです。
術後の入浴・飲酒
術後は感染症のリスクがあるため、湯船に浸かる入浴は避け、シャワーだけで済ませましょう。1週間後の診察で医師の許可が出てから入浴が可能になります。
また手術当日は出血が十分に止まっていないことや、麻酔の影響が残っている可能性があるため、アルコールは控えましょう。翌日以降の飲酒は問題ありませんが、出血している時期は酒量を控えめにしましょう。
術後の仕事開始は相談を
お仕事に復帰する時期は、内容や症状によって異なるため、医師にご相談ください。体に負担が少ないデスクワークのお仕事で、症状が悪化していなければ、翌日から働ける場合もあります。
ただし営業や立ち仕事、重労働などは出血を長引かせる可能性があるため、2~3日の休暇をおすすめしています。いずれにしても、中絶手術前に医師とよくご相談ください。
一度中絶するとどうなる?
術後の症状や後遺症について
中絶後によくある症状
出血
吸引法による手術後、出血量は翌日から徐々に減少し、1~2週間で出血が治まります。出血の量や色は人によって異なり、茶色いおりものから鮮血まで様々です。
出血が3週間以上続くか、大量の出血がある場合は、当院に相談してください。出血に対処する際は、感染予防の観点からタンポンではなく生理用ナプキンを使用し、小まめに取り換えましょう。
痛み
術後1週間は、生理痛のような腹痛が起こることがあります。この痛みは、妊娠によって拡張された子宮が元に戻ろうと収縮するために生じるものです。ほとんどの場合、市販の生理痛用の鎮痛剤で緩和できますが、発熱や立っていられないほどの激しい痛みがある場合は、術後検診を待たずに受診してください。
発熱
手術後は発熱することがありますが、多くの場合は1~2日で落ち着きます。しかし38℃以上の発熱が3日以上続くか、38℃以下の発熱が5日以上続く場合は、当院に連絡して受診してください。
吐き気
麻酔が効きやすい体質の方は、手術直後に麻酔の影響で吐き気を感じることがあります。吐き気は通常30分程度で収まりますが、その間は飲食をお控えください。
考えられる合併症と
その後の対処法
子宮穿孔
妊娠した子宮は柔らかいため、まれに手術で子宮穿孔(子宮に穴が開く)になる場合があります。
子宮穿孔が確認されると、開腹手術や輸血、子宮全摘、他臓器損傷の可能性があり、まれに腸や膀胱等、他の臓器に穴を開けてしまう危険性があります。また、次の分娩が帝王切開になる可能性があります。
静脈麻酔の副作用
静脈麻酔によって、呼吸抑制、血圧低下、ショック、誤嚥(ごえん)などを起こすことがあります。
その場合は必要な薬物を投与して全身管理を行い、安全確保に努めます。
多量の出血
まれに出血が多くなることがあります。子宮の収縮が不良の場合は子宮収縮薬を投与しますが、出血が多量の場合には開腹手術、輸血、子宮全摘の可能性があります。
感染症
術後に子宮内で感染症を起こす場合があります。下腹痛と発熱があれば、入院して抗菌薬で治療することがあります。
子宮内に組織が残る
手術後に出血が続く場合、残存組織が原因である可能性があります。まれなケースですが、残存組織を除去する再手術をすることがあります。
再手術
合併症の治療や再手術などを行う場合があります。その際は追加費用がかかることがありますので、あらかじめご了承ください。
生理の変化
中絶手術後に生理が再開するのは一般的に1〜2ヶ月後ですが、個人差があり、生理不順の場合はさらに遅れることもあります。
最初の生理は経血の量や期間、痛み、色などが通常と異なることがありますが、数回の生理の後に通常の状態に戻ることが一般的です。
遅くても術後3~4ヶ月後には生理が再開されますが、それ以上経っても生理が来ない場合は、当院にご連絡ください。
保険適用される?
人工中絶手術の費用について
人工妊娠中絶手術は、原則として健康保険は適応されません。術前の妊娠検査、超音波検査、HIVや淋菌などの感染症検査、健康状態を確認する血液検査なども全額自費の自由診療となります。
当院の人工中絶手術の
費用
術前検査 | 10,000円(税込) |
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手術費用 | 100,000円(税込) |
人工中絶手術の
よくある質問
人工中絶手術後はいつから性行為ができますか?
感染症予防のため手術後2週間は性交渉を避けましょう。また手術直後でも妊娠する可能性があるので、必ず避妊をしてください。当院では低用量ピルや避妊リングなどの避妊方法について詳しく説明し、処方しております。
手術をするには同意書が必要ですか?
人工妊娠中絶手術を受ける場合、通常はご本人と配偶者(結婚している方)の署名・捺印のある同意書の提出が法で定められています。ただし諸事情で配偶者の同意が得られない場合や性被害の場合は、ご本人の同意のみで手術が可能な場合もありますので、まずは当院にご相談ください。
人工中絶手術をすると妊娠しにくくなるって本当ですか?
中絶手術後は、妊娠しにくくなる可能性がゼロではありません。主な原因は、術後の感染や癒着で子宮内膜が薄くなることにあります。手術を繰り返すと感染や癒着を起こすリスクも増えます。こうしたリスクを軽減するためには、術後の安静と術後の診察を守ることが重要です。
人工中絶手術後の妊娠はいつから可能ですか?
中絶手術後は子宮内膜の状態を回復させるために、1回生理が来るまで避妊してください。術後すぐに妊娠しても妊娠継続に影響はありませんが、身体を休めるためには3回生理が来てからの妊娠計画をお勧めします。
人工中絶手術は痛いですか?
手術中は麻酔が行われますので、意識がなく、痛みを感じることもありません。手術中は意識が戻らず、手術後はできるだけ早く覚醒するように麻酔をコントロールしています。また、手術後の痛みも最小限に抑えるように努めています。